薬剤師さんへの講演
みなさん、こんばんは![]()
少し前ですが、薬剤師さん向けに
「処方箋における処方意図と治療方針」というテーマでweb講演会をしました。
まきメンタルクリニックは院外処方なので、持効性注射のみの患者さんと
お薬なしの患者さん以外は全員処方箋を持って薬局に行っていただきます。
医薬分業なので本来薬については薬局で服薬指導を受けるのですが、
当然こちらも処方をする時には薬の効果や起こりうる副作用、
またなぜこの薬を処方するかなどの説明はしています。
薬物はすべて体内に入る異物なので、説明をきちんと聞いてほしいと思う反面、
過度に細かなことにこだわられると処方が困難になります。
よくあるのが「どんな副作用がありますか
」という質問。
これはぜひ聞いておいてほしいと思います。
どんな薬剤にも副作用はあります。問題は副作用と効果のバランスです。
しかも副作用は個体差が大きいので、みんなに出ないから自分にも出ない
というものでもありません。
副作用はなくて効果があるというのが理想的ですが、
中には体質的に副作用が出やすい人もいるので、
発現する副作用と効果のバランスで、圧倒的に効果が優れている場合、
例えば多少眠気はあるが、内服することで不安感が大きく減少して生活しやすい
ということであれば、内服継続をお勧めします。
もちろん車の運転などは控えるようにお伝えしますが。
一方、特に副作用もないけど効果も感じられない場合、
例えば抗うつ剤などは効果を実感するのに最低1ヵ月程度はかかるので、
1~2週間後に患者さんが来られて「効果がわかりません」と言われても、
副作用がなければ内服を続けてもらい、効果が出るまで待ってもらいます。
1ヵ月未満の短期間で、効果がないと患者さんが訴えたからと言って、
「じゃあ別の抗うつ剤出しますね」などと薬をころころ変えると、
抗うつ剤に関しては、効果が出る前に薬を変えることになり、よくありません。
こうした説明や調整などでほとんどの患者さんは納得して
服薬を継続するのか、一旦お薬をやめて様子をみるのかということになります。
しかしごく一部の患者さんは薬局でもらう薬剤情報に書かれていることに
過敏に反応して、まだ自分に全然生じていない副作用に拘る場合もあります。
「〇〇って書いてありますけど飲み続けて大丈夫ですか?!」と言われると、
「絶対にあなたにはその副作用反応は起こらないので大丈夫です!」
という保証は誰にもできないのです。
薬剤情報ならまだいいのですが、「ネット(一般人のブログ)に書かれてあった」とか
果ては「ご近所の人から『精神科の薬なんか飲んだらよくない』と言われた」
などと言われるとこちらも薬なしですべての治療をしないといけないことになり、
それはかなり厳しいと思います。
もちろん精神療法も大切ですが、それだけで治療するのは困難です。
でもなぜかそういう患者さんに限って、ある日診察中に突然
「おばあちゃんに出されていた睡眠薬を飲んだらよく効いたから出してほしい
」
とか言い出したりして、こちらがびっくりします![]()
いやいや、それはおばあちゃんに処方されたもので、勝手に飲んだらダメでしょ![]()
と突っ込みたくなります。しかもそれが私の嫌いなベンゾジアゼピン系の
薬剤だったりして、さらにΣ( ̄ロ ̄lll)ガーン!です。
あんなにかなり些細な副作用に拘ってたはずなのに、いきなり何の説明も
受けていない、しかも他人に処方された睡眠薬を内服してしまうのが謎です。
あとはこちらが処方した薬を、どんなに丁寧に説明しても内服しない人も困ります。
なかなか良くならないのでおかしいなと思って聞いてみると、
ちゃんと内服していないということが稀にあります。
顆粒は苦手だとかカプセルが飲めないなどの飲みづらい剤型なのか、
ちょっとだけ内服したけど効果が出ないと自己判断してやめているのか、
ついついうっかり飲み忘れてしまうのか、理由はさまざまでしょうが、
はっきりした理由を教えてくれない場合も対処に困ります。
また余った薬は捨ててしまえばいいと思っている人は困ります。
薬代の7割~人によっては全額税金で賄われているという意識がまるでないのかな
と思います。まわりまわって自分の払った税金が捨てられているのと同じなのです。
逆にいつのかわからないくらい古い薬でも、あると自己判断で内服する人、
これはこれでとても怖いのでやめてほしいと思います![]()
とにかくこうした患者さんの疑問や、困ったことに対応するために、
2020年9月から改正医薬品医療機器等法(薬機法)により
薬剤師による服薬フォローが義務化されました。
薬剤師が調剤時に限らず、必要に応じて薬剤の使用状況の把握や
服薬指導を行う、いわゆるフォローアップが義務化されました。
具体的には、薬剤の適正使用のために必要と認める場合には、
薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握するとともに、
患者本人、または現にその看護にあたっている者に対して
必要な情報を提供し、薬学的知見に基づく指導を行わなければならない
ということが薬機法で規定されたのです。
これは服薬フォローが必要そうな患者さんをピックアップして、
細かなことを聞き取ったり、必要な指導をしたりとなかなか大変そうです。
もちろんそれに伴って30点の保険点数が加算されます。
1割負担だと30円、3割負担の人だと90円です。
しかし手間とかかる時間を考えたら全然割にはあっていないと思います。
またこれらのフォローを行うにあたって、その疾患特性を理解しないと
いけないわけで、大変な業務だと思います。
しかし処方箋を見てもその処方意図がまったくわからない場合は
ちゃんとしたフォローをしようにもかなり難しいしょう。
今後は医師と薬剤師の連携もますます大切になってきますね。
どうか患者さん自身も当事者意識を持って、服薬フォローにご協力ください。
では今日は懐かしいKの「over…」を贈ります![]()
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