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スティルウォーター(ネタバレ注意)

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みなさん、こんばんは音譜

 

コロナ禍になってからすっかり映画館から遠ざかってしまい、

その分家でAmazonプライムで映画を観たり借りてくることが増えました。

今回はTSUTAYAの準新作が100円で借りられるので何かないかなぁと

探していたところ、大好きなマッドデイモン主演の映画を見つけました。

ジャケットの後ろに、無実の罪でフランスマルセイユの刑務所に投獄された

娘を救う父親!みたいなストーリーが書かれていたので、

テンポの良い、アクションも所々にあるようなサスペンスやミステリーを

想像して借りたのですが、蓋を開けるとなんと重くシリアスなヒューマンもの。

 

う~ん、作品としては5点満点だと4点はあげたくなる作品ではあるものの、

なんというか後味がすっきりしない物語でした。

 

カチンコ以下はあらすじなのでネタばれされたくない人は飛ばしてください。

 

娘アリソン(アビゲイル・ブレスリン)は遠いマルセイユ刑務所に収監されており、

オクラホマのスティルウォーターから娘に会いに行く父親ビル(マッド・デイモン)。

泊まったホテルで偶然居合わせたヴィルジニー(カミーユ・コッタン)と8歳の娘

マヤ(リロウ・シアウヴァウド)という母娘。

自分は無実だと主張する娘のためにフランス語も話せないまま奔走するビルは

弁護士にもまるで相手にされない中を、

アリソンが「そいつこそ真犯人なの」と言う男アキムを探し回る。

ビルを放っておけずに協力するヴィルジニー。

どうやらアリソンは同性愛者で、同居していたリナを無惨に殺した罪で

収監されているよう。その事件は5年前、マスコミでセンセーショナルに

報道されたため、ヴィルジニーも記憶に残っていたほど。

このアリソンが終始父親であるビルを小馬鹿にしてる感じがなんかイヤだった。

高校を中退し、油田や建設現場で汗だくになって働きながら娘を大学までやるのは

並大抵ではないはず。もちろん日本のように全て親がかりではなく、

自分もバイトとかして学費を稼ぐのがアメリカだけど、それでも親は大変だったはず。

現に大学教授はアリソンを教育を受けた裕福な家庭の娘と思っていたほど。

 

まぁ、無謀ともいえるアキム探しは団地内でボコボコにされて、

アキムに逃げられて終わり、そのことでアリソンに散々罵られる。

その後ヴィルジニーとマヤ母娘との同居生活が始まり、その中で自然に家族のように

暮らし始めたビル。ただの同居人から次第にヴィルジニーの恋人へと変化しながら

建設現場で働き、平和に過ぎてゆく日々。

 

アリソンの保釈日(4カ月に1日試験的に外に出られることになったらしい)

迎えに行くビル。温かくアリソンを迎えるヴィルジニー母娘。

でもアリソンはマヤと仲良く遊ぶビルを見ながら、ヴィルジニーに

「父親は何をしても失敗ばかりのダメな人間だ」と言う。
自分のために言葉もわからない国で奮闘している父を見ながら。

ビルはある日マヤが大好きなサッカーチームの試合のチケットをプレゼントし、

まるで実の父と娘のように二人でサッカー観戦へ。

このまま幸せに過ぎて欲しかったのに、一度は見失ってしまったアキムの姿を

サッカー場で見かけてしまい、娘の無実を証明しようとアキムの後をつけて

拉致監禁してしまう。眠ったマヤを乗せた車で。
隠していたはずがマヤに地下室のアキムの存在について聞かれ、

ヴィルジニーには内緒にして欲しいと頼むビル。

しかしアキムのカタコトの英語で、実はアリソンこそがリナに居なくなってほしいと

アキムに依頼した張本人だったのだ。その見返りはなんとアリソンが留学前に

いつでも故郷のスティルウォーターを思い出せるようにと空港にギフトショップで

ビルがプレゼントしたスティルウォーターの文字をかたどった金のネックレス。

 

確かにアリソンにプレゼントした記憶があり、それを聞いて愕然とするビル。

 

一方アキムのDNAと殺人現場の不明DNAが一致したようだが、

DNA鑑定を依頼したのは元警官である探偵。

警察はビルがアキムを地下室に監禁していると気づいてビルの元に訪れる。

おそらくヴィルジニーがいち早く気づいてアキムを逃がしたのだろう。

地下室にアキムはいない。そしてビルを守りたいマヤは警察に嘘をつく。

こうして母娘は否応なしにビルの拉致監禁という重罪に巻き込まれて

嘘をつかなくてはならない羽目に…。
そうしてヴィルジニーは「すぐに荷物をまとめて出て行って」とビルを追い出す。
母親なら自分はともかく娘まで巻き込んでいたこと、娘に嘘をつかせたことは

許せるはずもない。ビルが必死でアリソンを助けようとするのと同様、

ヴィルジニーだってマヤを守りたいに決まっている。

ビルが別れを告げに行ってもタブレットばかり見て返事をしないマヤ。

それでもビルが大好きだったマヤに最後の別れを言う機会を与えるヴィルジニー。
ビルにしがみついて泣くマヤにこちらも涙なしではいられない。

こうして家族になれたかもしれないかけがえのない母娘を失ったビルは

アリソンの弁護士からDNA鑑定が決め手になってアリソンが釈放されることを

聞かされても複雑な、呆然とした表情のまま。

結局ビルはアリソンを連れ戻すことが出来てアメリカに帰国。

地元ではアリソンの歓迎会が盛大に開かれる。

そのお祝い騒ぎの中で浮かない表情のビル。
アリソンにネックレスのことを切り出すが…。

この娘はダメだと思う。

父親の人生を台無しにして底なしの深い沼に沈めたとはわかってない。

表面ではごめんねと言うが、何一つわかっていないから

ヴィルジニー母娘が恋しいビルにマルセイユに戻るのかなどと聞けるのだろう。

父親が自分のためにどれほど働き、必死になってアキムを探し、犯罪まで犯し、

そしてそのために大切な人達を失ったことをわかっていたら、

ビルがマルセイユに戻って二人に会うことなどできるはずもないとわかるだろうから。

無実だと信じていた娘が実はアキムにリナ殺しを、自分のあげたネックレスを

報酬として使って頼んでいた。娘はまさか殺すなんて思ってなかった、

追い出すだけだと思ったと言い訳するが、結局はアリソンのせいでリナは死んだのだ。

それは自分が1番わかってるはずなのに自分は無実だ、アキムを捕まえてと

懇願するような人間だ。この先もそういう生き方なんだろう。
この娘の救出のためにビルが支払った代償は大き過ぎる。

それはビルだけではなくヴィルジニーとマヤの母娘も同様だろう。
どんなに好きでも許せないことはある。

娘の真実を知り、二人を失ったビルにとって故郷の景色はまるで見たこともないような

景色となり、人生は冷酷だと呟く。

この最後のシーンは何度も観てしまった。

そう、ビルはやっぱり失敗ばかりするダメな人間なのかもしれない。

娘を助けたい一心で大きな過ちを犯したのだから。

底知れぬ喪失感を抱えてこれから先歩む人生は冷酷だ。

二人と知り合う以前には戻れない。

そして人生の景色もまるで違うものになってしまった。良い方へではなく…。

なんだか切ない、そしてマヤが可愛すぎて切なすぎる映画だった。

 

 

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