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スティーブンキングの「ミスト」

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みなさん、こんにちは。
GW明けから急に夏のような暑さになりましたね。
みなさんのGWはいかがでしたでしょうか?

私はAmazonプライムで映画をたくさん観ました。
一昨年の暮れに思い切って大画面のテレビを購入していたので迫力満点でした。
個人的にはやはり古典的なスティーヴン・キングの「ミスト」が面白かったです。
もう3回ほど観ているのですが、何度観ても面白いですね。

地方のスーパーマーケットという閉鎖的な空間で生じるパニック。
店の外を覆う濃い霧の中にいる正体不明のモンスター。
にわかには信じられないものを目の前にして、スーパーマーケットという
閉ざされた空間で極限状態に置かれる人々はいろいろな反応をします。

目の前の現実を信じられない思いでも受け止めてなんとかしようとする人。
決定的に手遅れになるまでなかなか現実を受け止められない人。
人々の混乱や恐怖に乗じて「ハルマゲドンの始まりだ!」と不安を煽り立て
教祖のようになろうとする女性やその女性に縋ろうとする人々。
そんな時でも自分の社会的地位にしがみついて他人を見下す人など、
いろいろな人間模様を描きながら物語は進みます。

ここから先はネタばれになりますので、ご自分で観たい方は飛ばしてくださいね。

ハルマゲドンだと騒ぐ女性、ミセスカーモディ。
当初は狂信的すぎる発言のため、誰からも相手にされないどころか、
ちょっと頭がイカレてるな、くらいの感じで人々は関りを避けていますが、
信じられない光景を目にすると、パニックを起こした人々は混乱し、
次第に彼女を教祖のように奉り始める人が現れ、その数は増していきます。

心が不安や恐怖でいっぱいになったり、弱っている時、
何を心の拠りどころとするかは人それぞれですが、
当然そういう時の拠りどころのひとつとして宗教があると思います。
私個人は無神論者なので宗教にハマることはありません。
だからと言って宗教を否定する気持ちはまったくありませんが、
人の弱さにつけ込むような怪しげな宗教があるのも事実です。

「ミスト」の中でミセスカーモディはちょっと狂信的なキリスト教信者です。
それはもはやカルトと言ってもいいと思います。
神の裁きを訴えるミセスカーモディはどちらかというと鼻つまみ者的な存在から、
まるで教祖のような存在へと短時間で変貌し、人々を支配していきます。
その中でデヴィットが危惧した通り、生贄を差し出そうと言い出します。
生贄については日本でも人柱とか人身御供と言われるように、
人の力でなんともなりそうもないと思った時、例えば大干ばつや大洪水などの
自然の猛威などの前に無力であればあるほど、
これは神の怒りだと言い出す人がいて、神の怒りを鎮めるためにと
生贄を差し出す場面が見られます。

こうした生贄の考え方は宗教に限らず、古今東西に見られますね。
圧倒的に無力であることを受け止めきれず、神との取引をしようとする行為です。
しかし神が本当にいるなら、人の命を犠牲にしたりするのでしょうか?

海外の映画やドラマを観ていて思うのは、宗教観がわからないということです。
大多数の日本人は私と似たり寄ったりの無神論者に近いと思うのですが、
ものごころついた時から両親に教会に連れて行かれ、
日曜は教会に行くのが当たり前という文化ではないので、
そもそもの宗教観をきちんと理解するのが難しいのではないでしょうか。

キリストを信じ、神を畏れるという暗黙の土台の上に成り立った作品を観ても、
根本的に理解できない部分というのは少なからずあるでしょう。
文化の違いといえばまさにそうなのですが、
おそらく私は一生これを理解することができないだろうと思います。

話は逸れましたが、ミセスカーモディは当然自分を敵視している人間たち、
すなわちデヴィットたち、特に息子のビリーを生贄に差し出そうと言い始め、
恐怖で冷静さを失っている人々がデヴィットたちに襲いかかります。
モンスターに襲われるよりこちらの方が恐怖にすら思えますね

そして何といってもラストが衝撃的でした。

ラストに対照的な二人がすれ違うことになります。
「パパ、傍にいてよ」と息子から何度言われても、自分がなんとかしなければと
息子を店に居合わせた新任教師のアマンダに預けて動き回る主人公のデヴィット。
家に残してきた二人の子供が心配で、危険を顧みずに自宅に戻る女性。

生き残るために、はからずも子供の傍にいてやれない父親に対して、
自らの命を危険にさらしても子供たちの傍にいようとする母親。
どちらが正しいと論じることは出来ませんが、少なくともこの映画では、
結果的に母親の方が子供とともに軍に救助されているという結果になっています。

ミセスカーモディたちの攻撃を逃れ、スーパーを脱出するデヴィットたち。
普段はどちらかというとうだつの上がらない感じの副店長のオリーですが、
実は射撃の名手で当初からデヴィットをサポートし、頼もしい存在です。
しかしスーパーを脱出して車に乗り込む直前にモンスターの犠牲となってしまいます。
なんとか車に乗り込めたのは、デヴィットと息子のビリー、
ビリーの世話をしていたアマンダ、最初にモンスターを目撃したダン、
ビリーの小学校の教師をしているアマンダの5人でした。

車に乗り込んだ後、ボンネットにオリーの落としたピストルがありました。
アマンダが必至で制止するのも聞かず、リスクを冒してピストルを手にしたデヴィット。
もちろん、それはモンスターから身を守り、生き残るための武器でしたが、
それを手にしてなければ最後の悲惨な決断もしなかったでしょう。

車で走って自宅に妻を迎えに行くデヴィットですが、
目にしたのはモンスターに襲われて見る影もない姿になった妻の姿でした。
途中で目にしたスクールバスの子供たちも無残に亡くなっています。
霧の中で次々に目に入る悲しい光景を目にして絶望的になる5人。
残されたピストルの弾は4発。「5人いるのよ?」とつぶやくアマンダ。
皮肉にも身を守るために手にしたピストルが手元にあるからこそ生じてしまった選択肢。
「僕は自分でなんとかする」と言うデヴィット。響き渡る4発の銃声。
あんなにも守りたかった息子のビリーをも撃ち殺さなくてはなりませんでした。
モンスターの恐怖よりも辛い事実を背負ってしまったデヴィット。

深い悲しみと怒りの中でデヴィットはモンスターに「来いよ!来い!」と叫びます。
それは慟哭にも近いものでしたが、彼が霧の中で見たのは軍隊に救われ運ばれる人々。
その中に子供の傍にいなければとスーパーを出て行った女性がいました。

悲惨としか言いようのない結末です。
あと少し頑張って生きていたら、彼らも軍隊に救われていたはずなのに、
最愛の息子を含む4人を無駄に殺してしまったという事実に愕然とするデヴィット。

終わり方は本当に悲惨なのですが、ゾンビ映画のようなお決まりのバッドエンドとは
全く違った印象を受けます。

監督のフランク・ダラボンはスティーブンキングの名作「ショーシャンクの空に」や
「グリーンマイル」の監督としても知られています。
観終わった後に爽快感しかない「ショーシャンクの空に」とは対照的に
悲惨な結末にしたのにはどんな理由があったのでしょうか?

以下はWiipediaからの引用です。
ダラボンは「とてもダイレクトで、マッスラーな映画を作りたかった」ために、
『ショーシャンクの空に』、『グリーンマイル』のような
「ストレートなドラマ」の後に『ミスト』を選んだ。
ダラボンは映画化の際に新しい結末を考案した。
原作者のキングはダラボンの新しい結末を賞賛し、
「この結末は衝撃。恐ろしい。だがホラー映画を見に行く人々は
必ずしもポリアンナ・エンディングを望んでいるわけではない」と述べた。
原作小説ではデヴィッドはアマンダと性的関係を持つ展開があるが、
ダラボンは不倫要素を映画に盛り込もうとは思わなかった。
デヴィッドを演じたトーマス・ジェーンは、自分と息子、そしてアマンダで
一種の家族が形成されていると説明した。
またアマンダ役のローリー・ホールデンは、ハリケーン・カトリーナの際の
ルイジアナ・スーパードームの避難経験を引き合いに出した。

こうした背景があるみたいですが、私は真の意味でのホラー映画だと思います。

原作と映画がどのように違うのかをAmazonで原作を購入したので読みたいと
思いますが、読むのが楽しみです。
なかなか休日に映画三昧とはいかないのですが、コロナの影響で
映画三昧の休日を送れることにひそかに感謝です。
でもやはり映画は映画館で観たいというのが本音ですが・・・。

元記事 心療内科医まき@梅田

では今日は平井堅の「LIFE is ~another story~」を贈ります♬

大好きな曲で聴いてるとなぜか胸がいっぱいになります。

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