ベルソムラ発売1周年記念講演会で講演して来ました~in大阪~
みなさん、おはようございます♪
昨日はANAクラウンプラザホテルでベルソムラ発売1周年記念講演会があり、
そこでちょこっと講演して来ました。
私の前に講演される京阪病院精神科の葛西亮也先生のお話は
以前に拝聴したことがあり、勝手に非常に親近感を持っておりました。
不必要なベンゾジアゼピン系の薬剤を切りたい。
お薬はできるだけシンプルにしたい。
そういう姿勢を感じ、私と同じだなぁと思ったので、
こうしてご一緒に講演させて頂けるのは嬉しかったです。
講演会の後の情報交換会(という名の立食の食事会)で、少しお話できました。
まきメンタルクリニックが完全予約制というのには驚かれましたが。
まぁ、我ながらよくつぶれないで来れたなって感じですねσ(^_^;)
聴講されるのは主に内科の先生方だったようですが、
正直私は内科の医師達が、「精神科医は薬が多い!」と大主張する割に、
本当にと~っても安易にデパス(薬剤名:エチゾラム)を処方することに、
非常に腹立たしい想いも抱いています。
ベンゾジアゼピン系の中でもデパスはちょっとやっかいです。
デパス依存になった患者さんで多いのは、内科医や外科医などから、
「軽い安定剤だから」と処方されたのがきっかけだったりします。
親切心から処方したのでしょうが、小さな親切大きな迷惑って感じです( ̄∩ ̄#
あはは、また辛口コメントしちゃったよ:*:・( ̄∀ ̄)・:*:
筋弛緩作用が強く、抗不安作用も強いデパスは、切れ味がいいため、
いつの間にかしょっちゅう内服するようになります。
先日もニュースになっていましたね。
向精神薬の密売 購入客の少なくとも男女5人が薬物中毒で死亡 (←リンクあり)
以下は記事からの抜粋です。
向精神薬は…中略…依存性が高い半面、広く使われている実態があり、
使用者の横流しなどのルートを通じ、インターネットでの密売が横行している。
「スマートドラッグ」とも呼ばれ、専門家は危険ドラッグに替わって
乱用が広まる危険を指摘している。
薬物問題に詳しい小森栄弁護士(東京弁護士会)は
「使用や所持だけで処罰されることのない向精神薬は
スマートドラッグとも呼ばれ、若者らの乱用が多い」と指摘。
「『医師が使う物なら危なくない』という誤った認識が広まっている。
危険ドラッグの使用や所持が禁止されたため、
薬物依存者が向精神薬に目を付け、
乱用や密売がさらに深刻化する恐れもある」と警告している。
そうなのです!
医師が処方する薬なんだから安全だと思っていたという人がほとんどです。
私はこれらの薬を否定するわけではありません。
薬としてはむしろかなり効果のあるものだと思いますが、
一歩間違えると、依存や耐性、離脱症状(薬を常用していてやめようとすると
出て来る禁断症状)に繋がることが問題なのです。
よく売買されるのが安定剤の中でもデパス(薬剤名:エチゾラム)
超短時間作用型の睡眠導入剤であるハルシオン(薬剤名:トリアゾラム)など。
これらはいずれもベンゾジアゼピン系の薬剤です。
飲んだら、最初はとってもよく効きます。
不安も吹っ飛び、ガツンと眠気も来ます。
これがいわゆる報酬系の効果として脳にインプットされるのでしょうね。
しかし、こんなに問題になっているのに、医師がいとも簡単に処方するという事実。
なぜでしょう?
それは日本の保険診療の制度にあります。
丁寧に診察して、患者さんの話を聞くより、
1分程度の診察で「じゃあ、お薬出しときます」と言って、
患者さんの数をこなす方がはるかに楽で儲かるのです。
そのうち依存や耐性のできた患者さんが、
「なんか効かなくなったような気がします」と言うと、
「じゃあこのお薬も出しておきましょう」とさらに上乗せ。
こうやって簡単に悪循環に陥ります。
ベルソムラという使い方にちょっとコツがいるようなお薬について
私のようにくどいくらい説明したり、服用の仕方のプリントを作ったりするより、
ベンゾジアゼピン系の薬を出しておく方がずっと簡単なのです。
そうなると極端な話、適当にメンタルクリニックや内科に行って
「眠れないんです」「ちょっと不安で、パニックみたいなんです」とか言えば、
さっと出してもらえるとなれば、もらった薬を高額でネットで転売する人も出てきます。
そういう人は、私とは違った意味でジェネリックを嫌がります。
彼らにとってコピーは値打ちが下がるので、オリジナルが欲しいわけです。
デパス1㎎を1日3回内服するように出してもらえば、1ヶ月分で90錠手に入りますね。
それが闇ルートでどのくらいの値段で売られているのかは知りませんが
まきメンタルクリニックでは、絶対にあり得ない処方ですʅ( ‾⊖◝)ʃ
睡眠薬を切り替えるのは、医師にとっても患者さんにとっても、
そんなに簡単なことではありません。
ですが、医師・患者双方がちょっと努力をして頑張れば、
睡眠薬を飲まなくても自然に眠れるようになる日が来るのも夢ではありません。
先日睡眠導入剤からベルソムラに切り替えた患者さんがこう話してくれました。
「正直最初の1週間はきつくて、先生がいくら『長い目でみたら、いい薬だよ。
眠れるようになるから』と言ってくれても、先生からベンゾジアゼピン系の薬の怖さを
説明されなくて知らなかったら、出してくれる先生のところに行ったかもしれません。
でも今はベルソムラで自然に眠れるようになって、本当に良かったです」
この患者さんの言葉はとても心に沁みました。
ああ、この人は私の話をちゃんと聞いてくれて、辛いけど頑張ってくれたんだな、と。
「みんなが○○さんみたいだと、私も本当に嬉しいんだけど」と私も言いました。
ベルソムラは当院の統計だと、7%ちょっとの人が翌日の眠気のために中止となります。
16~17%程度で用量調節が必要が人もいます。
しかし依存が極めて少ないため、内服しているうちに、飲み忘れても眠れる、
そうした「出口の見える睡眠薬」だと言えます。
日本が世界で最初の発売国なのだそうです。
つまり、ベルソムラをいかに使いこなすか、
日本の医師の技量を問われる薬でもあります。
世界の中でももっともベンゾジアゼピン系薬剤大国である日本。
「スマートドラッグ」などと変な呼び名で、若者がベンゾジアゼピン系の
薬物依存になるような汚名は返上したいですね。
では今日は久しぶりにOne Diretion の One Thing を贈ります♪
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