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パキシルのジャマイカ効果について

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みなさん、こんばんは。
先々週末から先週の火曜にかけて、強い寒波のため、寒かったですね。
今年はインフルエンザの流行が遅いため、気をつけてくださいね。

今日はいまだによく処方されるパキシル(薬剤名:パロキセチン)の
ジャマイカ効果について知っておいていただきたいと思います。

うつ病(ここでいううつ病はいわゆる内因性のうつ病を指していて、
いわゆる「新型うつ=社会に適応できない未熟な人間性による抑うつ気分」
とは違います)の患者さん達は、些細な事柄にも過剰に反応しやすく、
「こんなこともできない自分は生きる価値などない」と自己否定しやすくなります。
新型うつ(こういう病名はありませんが、メディア上の用語ですね)の人達は、
「あの人が悪いから私がこうなった!」と自己否定より他罰的になります。

うつ病の患者さん達は、休職していても「みんなに迷惑になるから早く治らないと」
と焦る気持ちが強く、休職の初期は、
職場には行っていないけれど休養もできていない
という状態に陥りがちです。
私が休職を勧める場合はまず最初にこのことをはっきりと伝えておきます。

こういう患者さん達は、焦ってうつ病になる前の自分に戻ろうとしますが、
うつ病は再発のリスクも高い病気なので、ついつい些細なことにこだわって、
「自分はダメだ」と自己否定に走らず、どこかで「まぁ、いいか」と
自分と病気との間に折り合いをつけないと難しいものです。

抗うつ剤というのは、そういう折り合いをつけやすくするお薬だとも言えます。
些細なことに対しては「じゃあ、まぁ、いいか」と流せるようになることを
「じゃあ、まぁ、いいか」からとってジャマイカ効果と言います。
笑ってしまいそうな感じですが、そんな感じなのです。

このジャマイカ効果が適度にあればいいのですが、過度に働くとどうなるかというと、
やる気を出すはずの抗うつ剤で、逆に「もうどうでもいいや」となります。
つまり意欲が逆に低下というより、意欲そのものもどうでもよくなるのです。

気をつけないといけないのは、本当のうつ病の人には抗うつ剤は効きますが、
いわゆる新型うつと言われる他罰的な抑うつ気分の人に抗うつ剤を安易に処方すると、
こうしたジャマイカ効果や攻撃性が増してしまうことです。

また、医師がどんと構えて、ある程度かかるという気持ちでじっくり診ずに、
焦る患者さんや、抗うつ剤が適応ではないような人にまで抗うつ剤を処方すると、
そのリスクは余計に増してしまいます。

いわゆるセロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)という抗うつ剤の中でも、
特に離脱症状のきついパキシルは、飲み始めた当初は切れ味がいいのが特徴です。
最初は「パァ~っと効いた」気がしますが、増量されるにつれ、
だるくなったり、イライラしたり、変なジャマイカ効果が現れたりして、
良くならないのでやめようとすると、離脱症状が出てしんどいので、
やめたくてもやめられない、それを医師に訴えるとさらに他の抗うつ剤や
私の大嫌いなベンゾジアゼピン系の抗不安薬が上乗せして処方され、
悪循環から抜け出せなくなります。

こうして薬物依存の患者さんは、いとも簡単に出来上がってゆくのです。

かといって、極端に漢方しか飲まない!という人もこれまた困ってしまいます。
お薬は適度に必要に応じて必要量を飲むものです。
私がいくら漢方をやっているからといって、私は漢方信者ではありません。
バランスよく適度に使ってこその医療です。

またその人のマイナス思考に対して、きちんとした精神療法をして、
プラスのフィードバックが自分でできるようにするのも心療内科医の仕事です。

一方的にお薬だけ出して終わる医師は信用してはいけませんが、
ドラマの影響などで「心療内科に行って話を聞いてもらおう」と思うのも間違いです。
心療内科医や精神科医はカウンセラーではありません。
この辺をしっかりと把握してから来るべきだと私は思っています。

では今日は先日観に行って面白かった「ザ・ウォーク」の予告編をお贈りします♪

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