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チャイルド44~森に消えた子供たち~

      2015/08/14   あとで読む

みなさん、こんにちは。

先日、クリニックのすぐ近くのミニシアター、
テアトル梅田で「チャイルド44 」という映画を観て来ました。

ロシアがソビエト連邦だった頃、実在した猟奇的連続殺人鬼
アンドレ・チカチーロをモチーフに描かれています。

原作は「このミステリーがすごい!」で、2009年に1位に輝いた
トム・ロブ・スミスの「チャイルド44」。

以下のあらすじはウィキペディアより引用です。

1933年 、ホロドモール大飢饉により飢餓に喘ぐソビエト連邦
ウクライナのチェルヴォイ村で、兄パーヴェルと弟アンドレイは、
食用目的で猫を捕まえようと森の中に入るが、
パーヴェルは行方不明になってしまった。

その20年後、幼児が行方不明になる事件が連続して発生、
レオの部下フョードルの息子アルカージーも殺害される。

スターリン 支配下の当時は「ソビエト連邦には犯罪は存在しない」という
建前になっていたので、当局は捜査に対して全く熱意が無い。

国家保安省の捜査官レオ・デミドフは未解決の幼児誘拐事件を捜査、
スパイの疑いを掛けられていた獣医アナトリー・ブロツキーを逮捕した。

ところが、レオの部下ワシーリー・ニキーチンがブロツキーを匿っていた農夫
ミハイル・ジノヴィエフとその妻を殺害、それに激昂したレオは
ワシーリーに銃を向けて殴り、その事を後に上司のクズミン少佐に問い詰められる。

その後、レオの妻ライーサがスパイであるという疑いを掛けられ、
レオはクズミン少佐の謀略によってウラル山脈 の東側に在る
ヴォウアルスクという村に左遷されてしまう。

そこでも少年少女を対象とした惨殺事件が連続して発生する。
レオはそれまでの組織の意向に沿った勤務態度を改め、
本気で事件解決を目指し始める。

映画ではまず There is no murder in Paradise という言葉が出てきます。

「楽園には殺人は存在しない」・・・これがスターリンの主義だったからです。

この間違った主義のために逆に連続猟奇殺人者の逮捕が
後手後手となって非常に遅れたために、被害者が増えたり、
飢餓にあえぐ人々の中で、カニバリズム(人食い)が発生したり、
警察の事なかれ主義が蔓延し、腐敗していきました。

なんとなく、映画でも観ようかなと思った時、友人がちょうどいい時間帯で
上映しているこの映画を勧めてくれたのですが、名匠リドリー・スコットの製作
ということで、面白そうだと思って一緒に観に行ってみました。

作品が面白かったので、是非とも原作を読んでみたいと思いました。

楽園には(つまり理想国家であるソビエト連邦には)犯罪の存在などない。
ないものは認めない。そのため、連続殺人の犯人を追う主人公レオ。

かつては国家保安省のエリートであったレオが、真相を暴こうと、
真相に迫れば迫るほど、組織や国家に逆に狙われる結果となり、
おまけにエリートの道を捨ててまでも庇った妻からは、
「国家保安官のエリートからプロポーズされて1週間泣いたわ。
国家保安官のエリートのプロポーズを誰が断れる?断ればどうなるの?
だから生き延びるために我慢して一緒に暮らして来たのだ」と罵られ、
精神的にも立場上もどんどん追い詰められながらも、
たった一人で戦ってゆくという緻密なプロットのミステリー。

今日の見方は明日の敵。本当の見方は誰なのか?
敵は強大な権力を持つ国家保安省・・・。スパイの暗躍。

でもその中で次第に芽生える夫婦の絆。
自分が命がけで守り抜こうとした妻も、また、自分を支えてくれる存在に・・・。

原作をたった137分で描き切るのは、かなり厳しかったのでしょう。
後半は「え?それでいいの?」くらいに、ちょっと無理やりな展開もありましたが、
なかなか出来のいい作品だったと思います。

再び国家保安局に復帰できたレオは、「殺人課を設置してほしい」と希望を出し、
自分に協力してくれた地方の将軍をそこに迎えることに。
「そんな課がこの国に必要かね?」と上官から、ちらりと冷たい視線が。
やはりそこでも、「There is no murder in Paradise」の理念は
国家のために守り通さねばならないのだという、上層部との駆け引きが・・・。

しれっとした顔で、その駆け引きに応じたレオ、
きっといつかはこのスターリン体制が行き詰ることを予期していたのでしょうか、
比較的サバサバとその駆け引きに応じます。
以前とは違うしたたかさ、強さが垣間見られました。

まるでソビエト連邦という国を象徴するように、終始陰鬱な雰囲気が漂う中、
妻との絆が深まってゆくという、一条の灯りとともに、
ラストは、希望を残してくれるものでした。

理想の国家、それは誰のためのものでしょう?
果たして「殺人など存在しない楽園」のような理想国家などあり得るのでしょうか?

それはまさに医療も同じなのです。
「なんのお薬も使わずに治療する」などという夢のような治療法はありません。
患者さんの中には、精神療法のみの方もおられますが、
やはり漢方であれ、薬物なのです。

患者さん自身があまりにも漢方にこだわるあまり、治療が後手後手になる人もいます。
私は「漢方と西洋薬をバランス良く、必要に応じて使う」のであって、
すべて漢方で治せると思っているような、漢方信者ではありません。
精神療法もしかりです。それだけやっていれば治せる人はごくごく一部なのです。

大切なのは治療のゴールです。
何が何でも西洋薬を否定する患者さんに、時々ため息をつきそうになることも・・・。

なんでもバランスの問題ですね。

では今日は「チャイルド44」の予告編を贈ります♪

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