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22年目の告白-私が殺人犯です- ~精神科医の視点から~

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みなさん、こんばんは。

3連休も終わりましたね。久々に私ものんびり。
一昨日映画館で観損ねた「22年目の告白-私が殺人犯です-」を観ました。

「藁の盾」などの狂気的な役も見事に演じられる藤原竜也と、
「悪の経典」などでさわやかイケメンイメージから脱却した伊藤英明の
Wキャストに加え、仲村トオルなど、主要キャストは非常に豪華。
ただ、脇を固める役者さんの演技はちょっとはてなマークですけど。( ̄_ ̄ i)

この映画は、2012年の韓国映画「殺人の告白」のリメイクです。

正直言って「殺人の告白」は楽しめたけれど、
「22年目の告白-私が殺人犯です-」はキャストの豪華さとは裏腹に
イマイチの印象がぬぐえません。

あらすじはネットで探していただきたいのですが、ここからもすでにネタバレです。
映画を楽しみたい方は観てからの方がいいかもしれませんね。

まず、「殺人の告白」。シリアスなドラマのはずが、なぜか犯人と名乗る
ドゥソクを狙う遺族たちの復讐心が描かれるのはいいのですが、
途中ドタバタコメディみたいなシーンがあって、先行きが不安になります。

なんとか途中で持ち直すのですが、あのシーンは要るのだろうか?と思ってしまいます。
それでも全体的には良くできていて、楽しめた作品でした。
ドゥソク役のパク・シフの切れ長で、何を考えているのかわからない目つきが
とても色っぽかったと思います。

そしてラストは納得できる形というか、観ている方も安堵できる終わり方なので
私は好きですね。

一方「22年目の告白-私が殺人犯です-」ですが、リメイクなので
あらすじは知っているとは言え、藤原竜也のあの髪型はないよね( ̄□ ̄;)!!
単なる気持ち悪い男にしか見えないです (´・ω・`)
せっかくのイケメンぶりが台無しで、本人もよく了承したなと思います。

刑事役の伊藤英明は、その髪型によって、過去の回想なのか、
今なのかがわかるようになっていますが、逆に言うと、それがないとわかりにくく、
しょっちゅう出てくる回想シーンもうっとおしいとしか思えません。

韓国版が、司会者はただの司会者なのに対して、
日本版はキャスターである仙堂役の仲村トオルが犯人だったわけですが、
この連続殺人事件の犯行の動機とかがすこぶる変で、精神科医として納得できない。

また途中で「あれ??」と思ってしまったのは、「真犯人」と名乗る男のシーン。
マスクを被って出てきたこの男が、実はネット代行業で誰かから頼まれただけ
だとするならおかしなことになってしまうのです。

完璧主義で自己陶酔型、自己顕示欲の強い真犯人が、
あの場にいないわけがないのです。

テレビを通して観てる? それはこの犯人の場合あり得ません。
なぜなら犯人は殺人を「作品」と言い、殺人現場の映像を「記録」として残し、
後日それを観て楽しむようなサイコパスな人間なのです。

自分がその場にいて、事の顛末を見届けなければ気が済まない」はずです。
完璧主義者ならなおさらあの場にいるはずで、他人任せにするとは思えない。

実際に韓国版では真犯人はスタジオに現れ、自らマスクをはがし、
薄ら笑いすら浮かべて、挑発的な言動を繰り返します。
きちんとした精神科医ならここは絶対に違和感を持つはずなのです。

じゃあキャストから藤原竜也と伊藤英明を消去したら、仲村トオルしかいない。
つまりはキャスターの仙堂が真犯人だとすぐにわかってしまいます。
興醒めというかなんというか・・・ ( ̄□ ̄;)

さらに、実は仙堂がPTSDで、それによって犯行を行ったというのも
違和感がありすぎて納得できません。
拉致され、目の前で大切な人を殺され、成す術もなく目撃させられる。
これは確かにPTSDの要因であることは間違いありません。

ただ、PTSDの人たちは深い傷を心に負い、生き残った罪悪感で
抑うつ的になったりして、生きるエネルギーを失ってしまいます。
不眠になったり(過覚醒)、その場面が何度となく蘇ったり(再体験)、
そういう場面を想起させるものは極力(回避)するようになるものなのです。
こうした過覚醒や再体験、回避・麻痺がPTSDの症状だからです。

帰国直後の抑うつ状態の時に、自らが同じような犯行を行って、
仲間を増やそうなどとはけっして考えません。
殺人を何件も連続して行うエネルギーなど枯渇しているはずです。

まして自分が殺した相手の遺族に「取材」と称して深く関わり、その悲しみを
近くで見るなどは、サイコパスの狂喜以外のなにものでもなく、
サイコパスはサイコパスゆえ、なんら罪悪感も感じず、
またサイコパス自体は責任能力があるため、医療観察法の適応にならず、
刑務所に送られるはずなのです。

さらに精神を病んで精神病院に収監されているのに、手記を書く能力も
エネルギーもあるわけですから、すこぶるおかしな話ではないでしょうか。

ちゃんとして精神科医が医療監修を行っていないのでこうなるのでしょうね。
調べてみると「犯罪心理学監修-越智○○」となってますが、
いやいやこの人本当に大丈夫?って思いますね。
突っ込みどころが満載すぎでしょう。。

私も2回ほどドラマの医療監修を頼まれたことがあります。
テレビの世界ってどうなっているのか知りませんが、
こちらは専門知識を提供しているわけですから当然報酬も発生するのですが、
テレビに関わらせてやるのだからありがたいと思えとでも思っているのか、
無料でやってほしいとか言ってきます。当然お断りです。
忙しいのにそんなこと無料でやれるかい!って思います。

時々人の知識は無料だと思っている人がいて困ります。
逆に安請け合いしていい加減な知識を提供するのもどうでしょうね。

現実にこの越智なんたらさんがいくら報酬をもらったのかが知りませんが、
いい加減な指導をしたのか、言っても監督が聞かなかったのか、
観終わってみるとお粗末この上ない内容となっています。

それをすべて譲っても、ラストがやはり後味の悪さを残します。
時効がまだ存在するから刑事として止める牧村。
憎んでも憎み切れなくても法律の手にゆだねる曾根崎こと拓巳。

だから端役が最後に登場してってことなのかもしれませんが、
観ているこちらは「すっきりした」と思えないラストです。

せっかく藤原竜也や伊藤英明、仲村トオルといった実力派を擁しながら、
作品としては二流のものになってしまっています。
もっとも話題性が先行して興行収入は良かったようですが、
作品として後々まで残るようなものではないでしょう。

ただ、仲村トオルの演技はよかったと思います。
日本版ではこの仲村トオルに色気があってよかったと思います。
藤原竜也はいつも通り安定してますね。

DVDで観るなら断然「殺人の告白」をおすすめします。

元記事  心療内科医まき@梅田←リンクあり。
★元記事には「殺人の告白」と「22年目の告白-私が殺人犯です-」の
ネタバレありのあらすじがあります。

では今日は殺人の告白の予告編を贈ります♪

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