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梅田の暴走事故と大動脈解離について

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みなさん、こんばんは。
先日の梅田の暴走事故について、感じたこと、
そして普段はみなさんが聞き慣れない「大動脈解離」について
書きたいと思います。

ちょうどランチタイムの時間、午後0時35分頃、
当院はまだ午前の診察中。
けたたましいサイレンが何度も聴こえ、何事だろうと思っていました。

大阪市北区芝田1丁目の交差点での事故。
クリニックは芝田2丁目なので、すぐそこです。
ヨドバシカメラや新阪急ホテルなどあるスクランブル交差点は、
歩車分離式で、私もいつもそこを通って車を運転して通勤していますし、
徒歩でも毎日のように通る道です。

ちょうどその日は受付嬢とランチに行こうとした途中でしたが、
警察車両と救急車がたくさん停まっているし、
ヘリコプターが何台も上空を飛んでいて、
どうやら大惨事だとはわかりました。

しかし通行人である私たちは状況がわからないまま、
交差点まで行ったものの、事故のため、行きたい方向、
つまり悲劇のあったまさにその横断歩道を直進して進みたかったのですが、
渡れないので、とりあえず地下から、よく行くパスタのお店「壁の穴」へ。

交差点で信号が変わるのを待っていた私が感じた不快感は、
おそらく大惨事であろうことなのに、報道陣はともかく、
一般人の多くが写メを必死に撮っていることでした。

こういう時に必ずテレビに映りたがる人、
中にはテレビカメラに向かってピースなどしている人、
そういう人たちに対して不快感というか、嫌悪感を持ってしまいますが、
最近では写メを撮ったり、録画したりする人が増えて閉口してしまいます。

彼らはいったい何がしたいのでしょうか?
いわゆるSNSに「この現場にいたよ~」と投稿したいのでしょうか?
それを見た被害者の家族はどう思うのでしょうか?
どうしてこんなにみんな目立ちたいのでしょう?
それともそんなにしてまで誰かに構ってほしいのでしょうか?

一般人が簡単にyou-tubeに動画をアップできたり、
ツイッターやFace bookに写真とともに投稿できたり、
便利なツールを楽しいことを共有するため使うならいいでしょう。
でも報道以外で面白半分に悲劇的な事故を取り扱ってほしくはありません。

事故に遭遇された方への一日も早い回復を願ったり、
亡くなられた方へのお悔やみなどを添えてならまだわかりますが、
「ここ、ここ!ちょうど居たんだよね~、すごいもの見ちゃった」
なんて内容だけだとしたら、非常にくだらないと思います。
ニュースを見れば現場の様子はわかるのに、
なんのために我も我もと事故現場の写メを撮る必要があるのでしょう。

警察官が「関係のない人はさっさと向こうへ行って!」と
キレ気味に怒鳴っていましたが、警察官が怒りたいのももっともでしょう。

暴走車を運転していた、死亡した男性は大動脈解離だったようです。
あまり聞き慣れない「心タンポナーデ」という言葉も出てきましたね。

大動脈解離や心タンポナーデについては、医師なら必ず知っているはずです。
医師国家試験でも高頻度で出題される疾患であり、
症状が出れば、早急に対処しなければ、非常に致死率の高い疾患なのです。

精神科医はある程度身体の疾患も知っておかなければなりません。
そして自分ができる範囲の内科疾患なら対処しなくてはなりません。
そのためにも私は初診時に必ず採血をしています。
肝臓の状態はどうか?電解質に異常はないか?貧血はないか?
脂質異常(昔でいう高コレステロール血症ですね)はないか?
耐糖能異常(糖尿病やその予備軍)はないか?
場合によっては甲状腺疾患も念頭に入れなければなりません。

以前診た患者さんはイライラするとのことで初診となりましたが、
甲状腺機能亢進症を疑い、採血をしてみると、やはりそうだったので、
私はすぐに以前からよく知っている、信頼のおける甲状腺専門の先生へ
紹介状を書きました。そして患者さんはよくなりました。

原因疾患を治さなければ、精神疾患も長引いてしまいます。

そして大事なことは、「自分が診れるかどうか?」の見極めです。
手に余る状態であれば、できもしないことには挑戦せず、
すぐに専門の医師の受診を勧めることです。

そして、クリニックにはそこまでの道具は置いてありませんが、
リストカットなどの傷の縫合もある程度はできなければなりません。
そうした基礎的な内科的知識や最低限の手技ができなければ、
ちゃんとした精神科医療はできません。

大動脈解離について一番わかりやすそうな解説を検索したところ、
さいたま市立病院のものが一般人向けと思われたので、下に貼り付けておきます。
大動脈解離-病状、原因、手術、治療、生活等について- 

ここでは原因の中に動脈硬化がきちんと取り上げられていませんが、
高血圧の原因ともなる動脈硬化もまた重要なリスクファクターです。
動脈硬化は年齢とともに誰でも起こり得るものですが、
特にタバコ、高血圧、糖尿病(耐糖能異常)、脂質異常症などが
リスクファクターとなります。

私は特にこの脂質異常や耐糖能異常についてはチェックします。
高血圧の場合はひどいと頭痛がしたり、症状がありますが、
脂質異常の場合、自覚症状がなく、いろいろな疾患の原因となるのです。
動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、高血圧などなど・・・。

そして一般の人が大きな誤解をしているのが、
コレステロールや血糖値などの血液の数値が良くなれば、
状態がもとに戻ったと思っていることです。
血液の数値を正常値に戻すのはもちろん大切ですが、
正常値に戻っても、一度いわゆる「ドロドロ血」で狭くなった
血管の内腔がきれいになったり、血管の弾力が元通りになることはありません。

亡くなられた運転手の方にはお気の毒ですが、大動脈解離を来す場合、
生活習慣になんらかの問題があった可能性は大きいのです。

ここでツイッターが出てくるわけですが・・・
どうやらこの男性はツイッターに「これ食べた、あれ食べた」と
写真付きでツイートしており、日ごろからの暴飲暴食が問題のようですね。

男性のかかりつけ医は特に異常はなかったとある新聞でコメントしていますが、
さすがに大動脈解離は予測できないとしても、高血圧でかかっていたのだから、
食生活の指導などをしっかりしておけば、より安全だったでしょう。
とは言え、医師は神様ではありません。
肝心なのは本人の意識であることはいうまでもありません。

太ったからあわてて無理な糖質制限や炭水化物制限のダイエット、
それが続かずにまた食べてしまってリバウンド。
ダイエットとリバウンドを繰り返すほど身体には負担がかかります。

さらにこの男性に対する疑問。
(メディアでは名前を報じられていますが、ここでは敢えて名前は伏せます)
新聞記事によれば、運転中もしばしばツイッターでつぶやいていたようですが、
今は自動投稿というものがあるそうです。でも写真まで撮れるのでしょうか?
運転しながら携帯をいじっていたとしたら、とても危険な行為です。
高校の元教員だそうですが、そういう人物がすべき行為ではないでしょう。

正直51歳にもなって、運転中もしょっちゅう携帯で自動投稿して
「今どこそこ」だのいちいちツイートする必要あるのでしょうか?
一度ツイートしてしまえば、不特定多数の人に見られるのです。
そんなにみんなに構ってほしいのか?と思ってしまいます。

この男性が「悪魔の囁き、いってまえ! いってまえ! 結局両方食べた、
美味しかった。ダイエットって何?」だのいちいちツイートしなければ、
亡くなった後もツイッターの内容を晒されることもなかったでしょう。

無理なダイエットも危険ですが、もしも運転中に携帯をいじっていたとしたら、
その行為の方が気になります。阪神高速池田線の梅田出口は、
ビルの中を通り抜けるような変わった出口なのです。
数分前に大動脈解離が生じていたら、高速道路上ってことですね。
いつも使う高速道路や交差点だけに、怖さも倍増です。

ともかくも胸部に激しい痛みを感じることが多い大動脈解離。
男性も痛みを感じたのか、一度は停車していたようですね。
その道路はしょっちゅう停車している車がいて、運転している時には、
「はぁ~、なんでこんなところでハザード出して停まるかなぁ」と思うほど。
だから男性もエンジンを切って救急車を呼ぶことができればよかったですね。
運転は即中止すべきだったのですが、既に意識がなかったのかもしれません。

高速道路で運転中だったとしたら、もっと悲惨な事故になっていたかもしれません。
だからといって繁華街でも大惨事です。
ひとりでも犠牲者が出れば痛ましい事故なのです。
男性にもご家族がおられたわけで、今後が大変でしょう。

男性はもちろん、巻き添えになって亡くなった方や負傷された方、
そして、事故現場に居合わせて目撃してしまった方も、
横断歩道を歩いていただけでこんな大惨事になるとは思ってもいなかったでしょう。
心の傷が少しでも早く癒えることをお祈りしています。

では今日は懐かしいクリストファークロスが大阪のビルボードへ
やって来るそうで、ニューヨークシティセレナーデを贈ります♪

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