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ベルソムラの講演して来ました~in奈良~

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みなさん、こんばんは。 昨日からGWですね!
私はGWの人混みが嫌いなのでどこにも行く予定はなく、基本自宅でのんびり。

さて、25日に奈良の南奈良総合医療センターでベルソムラの講演をして来ました。
この講演は、昨年奈良の五條病院でベルソムラの講演をさせていただいた時に、
院長の森安博人先生が、私の講演に対して非常に共感してくださり、
ご自身のベンゾジアゼピン系の薬剤処方を大幅に見直され、
今回もお招きいただいたという経緯で実現しました。

森安院長をはじめ、五條病院の総合診療科の先生も、
積極的にエチゾラム(デパス)などのベンゾジ系薬剤からベルソムラへの
切り替えをなさったようで、それらの結果をまとめて見せてくださり、
講演した私にとっては非常に嬉しい出来事でした。

ベルソムラ(スボレキサント)とロゼレム(ラメルテオン)は
日本ではこの2種類のみがベンゾジアゼピン系ではない薬剤です。
ベルソムラは覚醒をつかさどるオレキシンという神経伝達物質の拮抗薬、
ロゼレムは概日リズムを整えるメラトニン受容体に作用する作動薬です。

よく非ベンゾと言われるマイスリー(ゾルピデム)やルネスタ(エスゾピクロン)なら
大丈夫だと思っている医師がいますが、
ベンゾと非ベンゾを分けて考えるのはナンセンスだと思っています。
結局GABA受容体作動薬ですから、ベンゾジアゼピン系とほぼ同じと思ってよく、
非ベンゾだから大丈夫ということはまったくありません。

もし医師が「この薬はベンゾジアゼピン系じゃないから大丈夫!」と言ったら、
その医師は薬をよく知らないのだと思って間違いありません。

そういった意味でもベルソムラやロゼレムの方がずっと安全だと言えます。

GABA-A受容体作動薬における薬物依存 ←リンクあり。

ベンゾ系の、特に短時間作用~超短時間作用型の、いわゆる睡眠導入剤である
マイスリー(ゾルピデム)・アモバン(ゾピクロン)・ルネスタ(エスゾピクロン)・
レンドルミン(ブロチゾラム)やデパス(エチゾラム)からベルソムラに切り替える際、
前薬をいきなり中断してしまうと、いわゆる反跳性不眠といわれる中断症状が
生じる場合があります。

反跳性不眠とは、睡眠薬を急に中断した場合に、内服前よりももっと強い不眠が
生じることをいいます。つまり治療前より悪化するのです。
いきなり断薬されて反跳性不眠を経験した患者さんによると、
「目がギラギラして冴えてしまう感じ」なのだそうです。

前回「診療報酬改定について~誰ファーストなのか?~」(←リンクあり)の記事に
書きましたが、来年4月から漫然とベンゾ系薬剤を投与すれば、処方箋料が
減算されるので、慌ててベルソムラやロゼレムに変薬しようとして、
いきなり前薬を切ってしまう医師がいますが、そんなことをすると
反跳性不眠が生じ、せっかくのベルソムラやロゼレムの効果が打ち消されてしまい、
「この薬じゃ眠れない!」という判断をしてしまいがちです。
変薬する場合は、前薬を頓服として少量使う方が安全なのです。

とは言え、私自身はどんな薬でも内服しないのが自然だと思っているので、
眠れるようになれば、ベルソムラでもやめていくのが望ましいと考えます。
ベルソムラやロゼレムは反跳性不眠を認めることはほぼありません。
飲み忘れて眠ったことがきっかけで、眠剤なしで眠ることに不安がなくなり、
ベルソムラやロゼレムをやめられた患者さんは結構います。

当院でも、ベルソムラの内服についてパンフレットを作っており、そこには
「眠れるようになれば、内服せずに眠ってみましょう」と書いてあります。
頑張ってやめようとすると「今日は薬を飲んでない!」と却って神経がたかぶって
眠れなくなる場合がありますが、飲み忘れて眠るのは簡単なことです。

今まで処方した人の半数以上は、既にベルソムラの内服を終了、
あるいは内服しても時々頓服程度に飲むという状態です。

「薬がないと眠れないんだ」という思い込みが不眠を誘発したり、
薬から離れられない大きな原因のひとつですが、
反跳性不眠がそこに加わると、思い込みは確信に変わります。
反跳性不眠とは中断症状(離脱症状)なのですから、当然服薬すれば眠れます。
そうなると患者さんは「もうこの薬がないと眠れない!」と確信してしまいます。
しかし反跳性不眠のない薬にしておけば、スムーズに内服を減らしていけます。

ですからベルソムラは不眠に対して出口の見える薬だと言えるでしょう。

精神科ですからどうしても必要な薬はあります。
疾患によっては、ずっと内服しないと症状が悪化してしまうという場合もあります。
しかしこうした一部の例外を除けば、
処方する際、やめる時にスムーズに止められるか?
ということを念頭に置いて処方しています。
症状が安定してくれば、できる限り薬を減らすようにしています。
最低限の薬で最大限の効果が出るようにするのが大事なことなのです。

ある患者さんが卒業する時私に言いました。
「初診時に先生が『自分の科なのにこんなこと言うのもどうかと思うけど、
こういうところはできるだけ早く卒業した方がいいんですよ』と仰ってたのが
すごく印象的でした。今までそんなこと言ってくれる先生はいませんでした」

しかし、梅田周辺でメンタルクリニックが乱立している今、
そうあるべき医療を心掛けると、実は経営としては非常に苦しいのです。
どれほども話を聞かず、薬漬けにして、治療より依存を作り出す医療、
厳しいことも言わず、不要な診断書もどんどん発行して、
にこにこと「大変ですね~、じゃあお薬出しときますね」と言ってる方が
楽で儲かるという保険医療制度の現実があります。
おかしな世界ですね・・・。

元記事 心療内科医まき@梅田

では今日はカーペンターズの「青春の輝き」を贈ります♪
中学生のころは夢中でカーペンターズやサイモンとガーファンクルを聴いていました。
今でも彼らの歌は色あせることなく、名曲ですね。

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